原著
直腸癌における神経温存手術の適応と限界
山田 哲司, 橋爪 泰夫, 石田 一樹, 平野 誠, 中島 久幸, 山脇 優, 川浦 幸光, 岩 喬
金沢大学第1外科
直腸癌の自律神経温在手術の適応と限界を知るために,自律神経温存低位前方切除術が施行された18症例を対象とし,術後の自律神経諸機能と予後の面から検討を加えた.術後の排尿障害の発生率は6%(1/18)であり,自律神経非温存手術が64%(38/64)と高率であるのに反しきわめて低値であった.また術後の性機能も術前と変わりなかった.術後5年生存率は69%(11/16)と決して満足のいくものではなかったが,(1)術前検査にて腫瘍径が3 cm未満のRs,Ra腫瘍,(2)術中検査にてNo,So症例に限って本術式を施行すれば予後の面からも満足のいく結果を得られるものと考えられた.
索引用語
直腸癌, 自律神経温存手術, 排尿障害, 性機能障害
日消外会誌 18: 2057-2060, 1985
別刷請求先
山田 哲司 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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