原著
胃癌手術における脾合併切除後脾組織片自家移植の検討
児玉 好史, 夏田 康則, 土器 潔, 田口 純一, 前川 隆文, 蒲池 寿, 秀島 輝, 犬塚 貞光, 宮内 貞一*, 小野 庸*, 倉重 誠二**, 古澤 元之助**
福岡大学第2外科, *同 放射線科, **国立病院九州がんセンター消化器外科
胃癌手術で胃全摘脾合併切除後に脾組織片自家移植を20例に施行した.移植方法は主として脾の1/3~2/3量を小組織片として横行結腸間膜,腸間膜,残余大網内ポケットに分散移植した.この方法による治癒切除例では全例3カ月以降99mTc-加熱赤血球脾シンチが陽性となった.血小板数は術後上昇するが2カ月以降は脾温存例と同程度に下降し,また脾摘例に比べ有意に低かった.1年後に摘出された移植脾には正常の脾組織構築がみとめられた.本術式は根治性を満足しかつ短期間に脾の再生が得られることから胃癌の標準術式の一つとなることが期待された.
索引用語
脾組織片自家移植, 胃全摘脾合併切除, 胃癌手術
日消外会誌 18: 2088-2097, 1985
別刷請求先
児玉 好史 〒814-01 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部第2外科
受理年月日
1985年5月15日
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