原著
溶解性消化管吻合器の開発 第1報 腸管吻合における溶解性支持管の有用性
坂口 潮, 上原 範常, 宮内 好正, 内田 満国, 矢野 克比古1), 中野 真汎2), 岩奥 玲子2), 児島 強2)
熊本大学第1外科, 熊本大学第2薬理1), 熊本大学附属病院薬剤部2)
溶解性材料を用いた消化管吻合器を開発する目的でこの研究を行った.ゼラチンを材料とした円筒状の支持管と,これを把持する腸鉗子を試作した.この支持管は2日間以内にイヌの腸管内で溶解した.支持管を吻合部に挿入し,特殊鉗子で把持した腸管のJourdan吻合による実験では,支持管を使用しない従来のJourdan吻合より約30%の時間が短縮された.吻合に際し支持管を使用した場合の方が出血も少なく,運針も容易であった.肉眼的には支持管の有無にかかわらず,粘膜面は平担で,4,7,14,30日目の組織像でも腸管壁の癒合状態はほぼ良好で,両者の間に差はみられなかった.縫合不全や腸閉塞,吻合部の狭窄などは1例もみられなかった.
索引用語
消化管吻合, 一層吻合法, 溶解性支持管, 高分子化合物
日消外会誌 18: 2123-2130, 1985
別刷請求先
坂口 潮 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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