幽門腺領域に占居する陥凹性早期胃癌の特徴

熊谷　一秀^＊, 卜部　元道, 林田　康男, 城所　仂

順天堂大学第1外科（^＊現　昭和大学豊洲病院外科）

　教室の301例の陥凹性単発早期胃癌を癌巣の占居腺領域により幽門腺領域癌，中間帯領域癌，胃底腺領域癌と分けているが，今回は癌巣の背景胃粘膜に種々の程度の萎縮が混在する幽門腺領域癌の特性を検討した．その結果，i）陥凹性単発早期胃癌のうち幽門腺領域癌は157例（52％）を占めた．ii）幽門腺領域癌と幽門輪近傍の癌，f-line近傍の癌，それらの中間領域の癌と亜分類するとその頻度は12％，57％，31％であった．iii）f‐ line近傍の癌は未分化型腺癌が多く，大きな癌巣のものが多いなど中間帯領域癌の性格に近似した．iv）幽門輪近傍の癌，中間領域の癌は分化型腺癌が多くを占め，それらの背景幽門腺粘膜の萎縮は，前者では軽度萎縮例が目立ち，後者は高度萎縮例が多かった．

索引用語
早期胃癌, 陥凹性早期胃癌

別刷請求先
熊谷　一秀　〒135　江東区豊洲4-1-18　昭和大学豊洲病院外科

受理年月日
1985年6月19日

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