原著
固有筋層まで達した胃癌(pm胃癌)の臨床・病理学的特徴と予後―とくに早期胃癌との比較において―
羽生 丕, 砂川 正勝, 竹下 公矢, 中島 昭, 越智 邦明, 丸山 道生, 斎藤 直也, 佐藤 康, 遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
早期胃癌222例と比較しつつ,pm胃癌69例の臨床・病理学的特徴を調べ,その予後を左右する因子につき検討した.
1)pm胃癌のリンパ節転移率は早期胃癌に比べ高度だが,n3(+)例の頻度は4.4%に過ぎない.A領域のBorrmann型癌を除けば,pm癌の郭清はR2でほぼ十分と思われる.
2)pm癌再発死亡8例中6例が血行性転移によるものであった.V(+)例の5生率は59%で,V(-)例の97%に比べ有意に低かった.
3)pm癌のうち肉眼型1,2型のもの,分化型癌,INF β,間質量が中間型か髄様型のものなどは静脈侵襲の率が高く,再発の危険が高いグループと考えられる.
索引用語
pm胃癌, 早期胃癌, 胃癌の遠隔成績, 胃癌の肉眼形態, 胃癌の静脈侵襲
日消外会誌 18: 2279-2287, 1985
別刷請求先
羽生 丕 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1985年6月19日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|