原著
肝切除における血清コリンエステラーゼ値の臨床的意義―とくに血漿療法の指標として―
中村 亮, 栗栖 敏嘉, 佐々木 寿彦, 三森 教雄, 長山 瑛, 中村 浩一
東京慈恵会医科大学第3分院外科
原発性,転移性肝癌に対し肝切除を行ったうち20例を対象に術前後に定期的に血清コリンエステラーゼ値を測定し,血漿療法との関係について検討を加えた.血漿療法施行群では,施行前(1.89±0.66 IU/ml)に比べ施行後(2.53±0.32 IU/ml)は有意な上昇が認められ,投与血漿量の減量にともなってコリンエステラーゼ値も低下した.血漿療法非施行群は施行群に比べ全経過を通してコリンエステラーゼ値は有意に低値であった.また耐術例(1.84±0.62 IU/ml)は術死例(1.23±0.17 IU/ml)より入院時コリンエステラーゼは有意に高値であった.以上より肝切除後の血漿療法の指標としてコリンエステラーゼ値は有意義であり,また術前肝予備能評価を行ううえでも重要な因子の1つである.
索引用語
肝臓癌, 肝切除術, 血清コリンエステラーゼ値, 新鮮凍結血漿, 肝硬変
日消外会誌 18: 2300-2304, 1985
別刷請求先
中村 亮 〒201 狛江市和泉本町4-11-1 東京慈恵会医科大学第3分院外科
受理年月日
1985年6月19日
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