原著
原発性肝癌と他臓器癌との重複癌の治療
笹瀬 信也, 岡本 英三, 豊坂 昭弘, 飛田 忠之, 鈴木 栄太郎, 朱 明義, 植木 重文, 山中 若樹, 矢吹 公平, 藤原 史郎
兵庫医科大学第1外科
他臓器癌を重複した原発性肝癌(以下重複肝癌)23例を検討し以下の結果を得た.1.23例中18例に両癌の手術を施行した.2.肝癌に重複した癌は胃癌が最も多く23例中15例であった.また,重複肝癌は単独の肝癌に比べ,平均年齢及び女性の比率が高く,逆に硬変併存率は低かった.3.肝癌の進行度に一定の傾向は認められなかったが,肝癌に重複した癌の進行度は手術施行19例中14例がStage Iであった.4.予後は23例中9例が生存中で,この内1年以上生存は7例,3年以上生存は2例であった.術後合併症は1例を除きいずれも軽症であった.重複肝癌といえども根治的手術を目的とした積極的な治療が望ましい.
索引用語
重複癌, 原発性肝癌
日消外会誌 18: 2336-2339, 1985
別刷請求先
笹瀬 信也 〒663 西宮市武庫川町1番1号 兵庫医科大学第1外科
受理年月日
1985年7月10日
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