原著
Placental anemia-inducing factor(PAIF)に関する研究(第15報)―胎盤,癌組織ならびに各種疾患々者血清中のPAIF共通抗原物質―
井上 茂章, 藤田 正弘, 伊藤 隆夫, 藤井 昌彦, 遠藤 正章, 佐藤 新一, 棟方 博文, 今 充
弘前大学医学部第2外科(指導:小野慶一教授, 大内清太名誉教授)
胎盤および癌,非癌組織中のPAIF共通抗原物質(以下PAIFS)をポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下PAGE)で追求した.
ついで癌,非癌12症例の血清PAGE陽極側分画中のPAIFSと,同じく癌,非癌11症例の血清PAGE-PAIFパターンを検討した.
胎盤組織ムコ蛋白分画(以下P-62)では少くとも4個,胃癌および転移性肝癌ムコ蛋白分画(以下MK-62,CL-62)では3個のPAIFSが認められ,MK-62ならびにCL-62ではPAIFの移動度Rf=43よりも陽極側のPAIFSが高い活性を示した.血清PACE陽極側分画は癌疾患群で高値をとり,PAGE-PAIFパターンは癌6例を含む7症例で陽極側偏位または幅広パターンを呈した.癌の診断上,血清総PAIFの他にPAGEパターンの観察も有用なこととおもわれた.
索引用語
Placental Anemia-Inducing Factor (PAIF), 癌関連抗原, 共通抗原物質, ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)
日消外会誌 18: 2375-2382, 1985
別刷請求先
井上 茂章 〒036 弘前市在府町5 弘前大学医学部第2外科
受理年月日
1985年7月10日
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