原著
臨床病理学的検討からみた早期原発性肝細胞癌の考え方と切除上の問題点
三村 久, 高倉 範尚, 浜崎 啓介, 金 仁洙, 笹岡 和雄, 折田 薫三
岡山大学第1外科
原発性肝癌切除例のうち5 cm以下の単発癌をsmall liver cancer(9例)と径2~5 cmの癌(23例にわけ,これにStage I癌(24例)を加えて,病理学的所見と予後の関係を検討して以下の結果を得た.1.Small liver cancerおよびStage I癌は早期の癌と考えられ,切除後の1生率,2生率はsmall liver cancerで100%,79%,Stage I癌では94%,69%であった.2.被膜浸潤は腫瘍径に関係なく60~70%にみとめられた.3.脈管侵襲は被膜浸潤(+)例の約半数にみとめられた.4.被膜浸潤(-)のStage I癌は核出術によっても予後良好で,永久治癒が期待された.5.浸潤癌は腫瘍径が少さくても再発があり,脈管侵襲を考慮した系統的亜区域切除とTW(-)が必要と考えられた.
索引用語
早期肝癌, small liver cancer, 肝癌の被膜浸潤, 肝癌の遠隔成績
日消外会誌 18: 2453-2458, 1985
別刷請求先
三村 久 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第1外科
受理年月日
1985年7月10日
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