各種胃手術後の胆のう収縮能―乾燥卵黄製剤経口投与による超音波映像下での観察―

高橋　徳, 横山　英二, 楠原　清史, 神頭　勝, 琴浦　義尚, 山村　武平, 石川　羊男, 宇都宮　譲二

兵庫医科大学第2外科

　過去1カ月以内に，胃切除術を施行された患者44名（良性疾患13名，悪性疾患31名）を対象に，乾燥卵黄製剤（ダイヤン）経口投与後の胆のう収縮運動を超音波映像下に観察した．胆のうの最大収縮率は健常者（10名）に比べ，悪性疾患で有意に低下し，特にBillroth II法による再建術を受けた群で，収縮不全が顕著であった（p＜0.01）．naloxone（0.4 mg）の筋肉投与は胃癌手術後の収縮不全を有意に改善した（p＜0.01）．以上の事実より，ダイヤン投与後の胆のう収縮機能に関して，リンパ節郭清による神経の切離と，再建術式による食物の十二指腸通過の有無が重要であり，内因性opioidの過剰やcholecystokinin（CCK）放出の低下が関与する可能性が示唆された．

索引用語
胃切除術胆石症, 胆のう収縮運動

別刷請求先
高橋　徳　〒663　西宮市武庫川町1-1　兵庫医科大学第2外科

受理年月日
1985年9月11日

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