原著
消化器外科手術後に合併したmultiple organ failureの検討―発症誘因の分析を中心に―
望月 英隆, 初瀬 一夫, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
消化器外科手術症例3,741例のうち,術後にMOFを合併した65例を対象に,その発症誘因を中心に検討した.早期発症型MOF(術後4日以内発症:30例)は救急手術のほか,侵襲の大きな待期手術後に多くみられ(25例83%),大侵襲そのものがMOF発症に関与したものと考えられた.遅発型MOF(術後5日以後発症:35例)の発症には,術後感染症の関与が明らかに大きかった(29例,83%).重篤な感染症の合併は全体で57例88%に達し,感染症はMOF発症のみならず増悪にも大きく関与していた.臓器障害の既往,ショック,DICなどはMOF発症よりも増悪因子としての関与が大きかった.以上の結果をふまえ,MOF発症予防策につき考察した.
索引用語
術後多臓器障害, 早期発症型多臓器障害, 遅発型多臓器障害, 術後感染症, 予防的臓器管理
日消外会誌 18: 2476-2482, 1985
別刷請求先
望月 英隆 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1985年7月10日
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