原著
胃癌に対する噴門側胃切除術の適応
鈴木 力, 粟根 康行, 北村 正次, 小西 敏郎, 荒井 邦佳, 神前 五郎
都立駒込病院外科
上部胃癌に対する胃全剔術施行例124例の臨床病理学的検索から,噴門側胃切除術(噴切)では郭清に最も制約を受けると考えられるNo.4d,5,6に転移をみとめる危険性(相対的リンパ節転移危険性)はNo.10,No.11と同等以上であり,特にn1(+)例やps(+)例では転移をきたしやすい部位であるとの結論を得た.
当科では噴切は上部胃癌根治手術としては,幽門側胃を温存し,No.10,No.4d,No.5,No.6を郭清しないR1郭清で十分な根治性の得られる症例にのみ適応となる,一つの縮少手術術式であり,局在C(E)の,肉眼的にStage Iの表在癌と判断され,組織学的にもm,sm,(pm)癌でn(-)と予測される早期の症例のみに適応となる術式と考えている.
索引用語
上部胃癌, 噴門側胃切除術, 上部胃癌の臨床病理学, 胃癌の縮少手術
別刷請求先
鈴木 力 〒951 新潟市旭町通1 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1985年9月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|