原著
咽喉頭頸部食道摘除遊離空腸移植再建例における中下部食道運動
河野 辰幸, 吉野 邦英, 滝口 透, 山崎 繁, 妙中 俊文, 下重 勝雄, 鈴木 知行, 永井 鑑, 遠藤 光夫, 渋沢 三伸1), 竹生田 勝次2)
東京医科歯科大学第1外科, 東京医科歯科大学耳鼻咽喉科1), 埼玉県立癌センター耳鼻咽喉科2)
咽喉頭頸部食道摘除後,遊離空腸移植による再建を行った下咽頭癌5症例の中下部食道運動を,内圧変化の面から健康志願者5例(対照群)と比較検討した.胸腔内食道静止圧は対照群より高く,呼吸による変動が小さい傾向を認めた.LESPは,呼気終末時に対照群より高い傾向があり,とくに右側3時方向では47±12 cm H2Oと対照群の21±5 cm H2Oに比べ有意に高かった.LES幅は,3時方向が4.0±1.8 cmで対照群と同様最も広かった.嚥下時伝達性陽性波は,波高が対照群と逆に口側でより高く,持続時間も口側で長い傾向を認めた.伝達速度は中下部食道においてほぼ一定であった.以上いくつかの点で差をみるものの,手術による著しい変化は認められなかった.
索引用語
咽喉頭頸部食道摘除術, 遊離空腸移植術, 食道再建術, 食道運動機能, 食道内圧測定
別刷請求先
河野辰幸 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1985年10月9日
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