原著
残胃のリンパ流に関する研究
梅野 寿実, 有馬 純孝, 志村 秀彦
福岡大学医学部第1外科
イヌを用いて胃幽門側部分切除を施行し,術後6ヵ月目に残胃漿膜下に色素を注入して残胃のリンパ流を実験的に検索した.実験群は,(1)左胃動脈下行枝切離(n=16),(2)左胃動脈根部切離(n=14),(3)(2)+第3群までのリンパ節摘出(n=15),(4)(2)+第2群までのリンパ節摘出(n=16)の4群に分けて施行した.(1)群ではリンパ流の変化はほとんど無かった.(2)(3)(4)群ではリンパ路の遮断のため副リンパ路による新生リンパ路が出現していたが,No.(8)(12)(13)のリンパ節摘出の有無にて(2)(3)(4)群の残胃リンパ流に差違がみられた.また,リンパ節摘出のみでは正常のリンパ流を回復する傾向がみられた.残胃のリンパ流を知るには初回の手術法を確実に把握する必要がある.
索引用語
残胃リンパ流, 新生リンパ路
別刷請求先
梅野 寿実 〒814-01 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部第1外科
受理年月日
1985年9月11日
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