原著
膵全摘術後早期の糖代謝の実験的研究―アラニンからの糖新生について―
三科 武, 吉川 恵次, 川島 吉人, 富山 武美, 小林 孝, 小山 真, 武藤 輝一
新潟大学医学部第1外科
膵全摘術後早期の糖代謝について検討した.雑種成犬に膵胃全摘術を行い,術後インスリン非投与群:I群(n=3),投与群:II群(n=3)に分け,sham手術(脾摘術)群:III群(n=6)を対照とした.術後1日目に14C アラニン10 μCi/kgを投与し経時的に肝静脈より採血.血漿ブドウ糖の放射能を測定した.血糖値はI,II,III群でそれぞれ370±64.59±34,105±21 mg/dlとI群で高値となった(p<0.05).肝静脈14C-ブドウ糖放射能の最高値はそれぞれ24,311±1,327,8,231±2,118,27,394±11,994 dpm/mlとII群で低値であった(p<0.05).膵全摘術後早期ではアラニンからの糖新生は他の一般手術と同程度であるが,インスリンで容易に抑制されること,インスリン単独投与では糖・アミノ酸代謝が正常に営まれていないことが示唆された.
索引用語
アラニン, 糖新生, 膵全摘術, 外因性インスリン
別刷請求先
三科 武 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1985年9月11日
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