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第19巻 第3号 1986年3月 [目次] [全文 ( PDF 695KB)]
原著

ラットの結腸間有茎移植回腸上皮における細胞動態学的研究―Dimethylhydrazine発癌の促進要因について―

桂 康博, 松田 泰次, 丸山 次郎, 小川 雅昭, 坂田 育弘, 安富 正幸

近畿大学第1外科

 ラットを用いたDMH発癌実験では発癌しない回腸でも結腸間に有茎移植することにより癌が好発する.この発癌性亢進の原因究明のためDMH非投与ラットの腸管上皮における細胞動態を解析した.その結果,結腸間移植回腸では偽移植回腸にくらべmitotic indexが増加し,細胞周期時間およびDNA合成期時間が軽度延長,growth fractionは軽度増加した.migration rateは1.4倍に増加し,transit timeは6.2時間短縮した.以上より回腸粘膜上皮は結腸間に移植されることにより細胞動態学的にhyperplasiaの所見を呈し,このことがDMH発癌に対し促進的に作用したと考えられた.

索引用語
有茎回腸結腸間移植術, 細胞周期(cell cycle), growth fraction, 細胞移動(cell migration)

日消外会誌 19: 680-686, 1986

別刷請求先
桂 康博 〒589 大阪府南河内郡狭山町西山 近畿大学医学部第1外科

受理年月日
1985年9月11日

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