原著
消化器外科手術によるエンドトキシン血症と多臓器機能不全
江端 俊彰, 戸塚 守夫, 伝野 隆一, 長谷川 格, 東 薫, 南田 英俊, 平池 則雄, 早坂 滉
札幌医科大学第1外科
消化器外科手術によるエンドトキシン血症はしばしば経験する病態である.エンドトキシン血症に合併する臓器機能不全は出現頻度が高く,予後不良である.1975年より1984年までの10年間でわれわれの教室では3,637例の開腹術を経験している.そのうち敗血症性合併症は36例(0.99%)である.エンドトキシン血症に起因する臓器不全は71例中34例,48%と高率であり,71の臓器障害を認めている.多臓器機能障害では23例中18例,78%の死亡率であり,単独臓器障害による死亡率36%と比較してもきわめて高い死亡率を示した.多臓器機能不全に対する対策は,早期診断と予防をふくめた治療が必要である.そのためにも感染症に対する慎重な対応が重要であろう.
索引用語
敗血症性術後合併症, MOFの死亡率, エンドトキシン血症とMOF, MOFの対策
別刷請求先
江端 俊彰 〒060 札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学第1外科
受理年月日
1985年10月9日
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