原著
胃癌症例における大腸検査の有用性―大腸・胃重複癌の早期発見への試み―
布村 正夫, 斉藤 典男, 更科 広実, 鈴木 秀, 新井 竜夫, 高橋 一昭, 谷山 新次, 横山 正之, 井上 育夫, 井原 真都, 奥井 勝二, 古山 信明1), 樋口 道雄1)
千葉大学第1外科, 千葉大学中央手術部1)
当教室の胃癌症例160例に対し,大腸重複癌の早期発見を目的として,術前に注腸X線検査を第1選択とする大腸検索を積極的に施行した.注腸X線像上,ポリープ様病変28例(17.5%),進行癌1例(0.6%)が認められた.内視鏡的ポリペクトミーを施行した14症例25病巣の大腸腺腫の検討において,発生部位では上行結腸に比較的多く(28.0%),異型性ではmoderate dysplasia以上の異型度を示すものが40.0%と高頻度であり,とくに5~10 mmの小さな腺腫で54.5%とその傾向は著しい.大腸悪性腫瘍は注腸X線検査施行例の2.5%,4症例7病巣に発見され,このうち5病巣は早期癌であった.以上より胃癌症例に対して大腸検索を行うことの意義は大きいと考えられた.
索引用語
大腸・胃重複癌, 大腸早期癌, 大腸腺腫
別刷請求先
布村 正夫 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1985年10月9日
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