原著
門脈圧亢進症の側副血行路とその臨床的意義
石山 秀一, 瀬尾 伸夫, 布施 明, 片桐 茂, 飯澤 肇, 川村 博司, 亀山 仁一, 塚本 長
山形大学第1外科
門脈圧亢進症66例の側副血行路について検討した.遠肝性側副血行路のうち左胃静脈の発生頻度が最も高く,次いで短胃,脾―後腹膜,下腸間膜,傍臍,脾―腎静脈の順であった.左胃静脈の直径が大きいと静脈瘤の程度も高度であったが,門脈圧や有効肝血流量との間には相関がなかった.食道静脈瘤の形成に関与しない側副血行路が太くなると門脈圧は低下する傾向があり,有効肝血流量は有意に低下した.これらの側副血行路の直径の和が10 mm以上の症例で食道静脈瘤からの吐血歴があるものはなかったが,猪瀬型肝性脳症を示すものがあった.門脈圧亢進症の治療においては側副血行路の状態を十分把握する必要があると考えられた.
索引用語
門脈圧亢進症, 門脈側副血行路, 食道静脈瘤, 門脈圧, 有効肝血流量
別刷請求先
石山 秀一 〒990-23 山形市蔵王飯田西前 山形大学医学部第1外科
受理年月日
1985年10月9日
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