原著
肝転移を有する胃癌に対する臨床的検討
橋本 謙, 掛川 暉夫, 武田 仁良, 山名 秀明, 黒岩 達, 小野 真一, 村上 吉博, 平井 裕, そう 光男, 田中 政治
久留米大学第1外科
過去10年間に教室で胃癌肝転移例の頻度は980例中96例(9.8%)であった.癌腫の主要占居部位とH因子との関連についてみると,肝片葉への転移のかたよりがみられ,ことにA領域癌のH1症例では,8例中7例が肝右葉に転移しており,門脈血流のstream line theoryを示唆するものであった.術後遠隔成績をH因子を除外したPns-因子のみでみた場合,Pns-stage IIIでは,H3症例でも,300日以上の平均生存日数が得られた.一方,Pns-stage IV症例の予後はH1症例でも,平均生存日数が187日と極めて短くなっており,肝転移例の術後平均生存日数にはH因子以外のほか因子が大きく関与していることが推考された.
索引用語
胃癌, 胃癌血行性肝転移, stream line theory
別刷請求先
橋本 謙 〒830 久留米市旭町67 久留米大学第1外科
受理年月日
1985年10月9日
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