原著
内視鏡的点墨法による胃癌の局所リンパ流の検討
高橋 司, 藤井 源七郎, 武田 泰隆, 藤井 祐三, 萩原 哲郎, 江里口 正純, 宮本 洋寿, 若林 とも1), 森 茂郎1)
東京大学医科学研究所付属病院外科, 同 臨床病理1)
胃癌35症例について経内視鏡的点墨法により胃癌の局所リンパ流について検討した.従来報告されてきた胃の主要リンパ流を認めた他に,広範囲な癌の広がりを持つ症例では,噴門部近傍に点墨してもほぼ全域のリンパ節に墨汁の取り込みが認められた.また小弯リンパ節に癌転移を認めた例では6例中2例に,大弯リンパ節右群あるいは幽門下リンパ節に癌転移を認めた3例のうち2例に局所リンパ流遮断によると思われる異常リンパ流を認めた.一方,左胃動脈幹リンパ節,総肝動脈幹リンパ節,脾動脈幹リンパ節には,45%,64%,45%と高率に墨汁の取り込みが認められ,胃の1次リンパ節として胃癌の手術に際し,十分に郭清する必要があると考えられた.
索引用語
胃癌の局所リンパ流, 胃癌リンパ節転移, 経内視鏡的点墨法
別刷請求先
高橋 司 〒108 港区白金台4-6-1 東京大学医科学研究所外科
受理年月日
1985年11月12日
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