原著
膵癌に対する術中照射療法の効果―疼痛に対する効果を中心として―
池田 由弘, 松野 正紀, 小寺 太郎, 小針 雅男, 久野 弘武, 加藤 宣誠, 山内 英生, 佐藤 寿雄, 山田 章吾1)
東北大学第1外科, 同 放射線科1)
切除不能膵癌40例に対して電子線術中照射を施行し,除痛効果,延命効果について検討した.照射線量は2,000~3,500 rad,照射電圧は10~15 MeVであり,内臓神経ブロックを22例に,化学療法を33例に併用した.その結果,鎮痛剤使用量を指標とした除痛効果判定において,鎮痛剤使用量が照射後,ほぼ不要(術前の約10%以下)になった著効例は11例,鎮痛剤使用量が減少した(術前の約70%以下)有効例は14例で,計25例(62.5%)に除痛効果を認め,無効例は9例(22.5%)にすぎなかった.術後平均生存期間は6.4ヵ月であり,非照射例の4.4ヵ月よりも有意に長かった.本法は進行膵癌に対する有効な治療法であると考えられる.
索引用語
電子線術中照射, 膵癌に対する放射線治療
別刷請求先
池田 由弘 〒980 仙台市星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1985年11月12日
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