原著
門脈枝(1次または2次分枝)に腫瘍塞栓を持った原発性肝癌に対する術前肝動脈塞栓術の効果について
高崎 健, 小林 誠一郎, 武藤 晴臣, 済陽 高穂, 田中 精一, 斉藤 明子, 磯部 義憲, 上田 哲哉, 島田 幸男, 小幡 裕
東京女子医科大学消化器病センター外科
われわれの原発性肝細胞癌の切除症例162例中で,門脈の1次または2次分枝内に腫瘍塞栓を持った症例は11例である.この11例の内,術前の合併療法として肝動脈塞栓術が4例に施行されている.そこで今回基栓術を行った例と非施行例の予後について検討した.
塞栓術を術前に行わなかった群7例のうちには1例の長期生存例があるが,残る6例はすべて癌再発にて平均8ヵ月にて死亡している.これに対し術前塞栓術を行った群では最長3年8ヵ月の1例をはじめ,2年8ヵ月の2例,1年7ヵ月の1例がありすべて生存中である.しかも現在のところ何ら再発の徴候は見られておらず,術前肝動脈塞栓術併用の有用性が推測される.
索引用語
門脈腫瘍塞栓, 術前肝動脈塞栓術
日消外会誌 19: 1612-1617, 1986
別刷請求先
高崎 健 〒162 新宿区市ケ谷河田町10 東京女子医科大学消化器病センター
受理年月日
1985年12月11日
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