原著
切除不能膵癌に対する動注療法におけるAngiotensin-II,Prostaglandin E1使用時の血流動態について
大東 弘明, 石川 治, 中森 正二, 佐々木 洋, 今岡 真義, 岩永 剛
大阪府立成人病センター外科
切除不能膵癌10例に対し,開腹下に超選択的に脾動脈あるいは胃十二指腸動脈に挿管し,血管作動性薬剤であるAngiotensin-IIを併用した抗癌剤注入による動注化学療法を行った.また,methotrexate使用例には十二指腸などに対するrescueの投与時に,Prostaglandin E1を併用した.この際の,膵における血流動態を水素ガスクリアランス法やradioisotope(81 mKr)を用いて測定した.膵癌の組織血流は22.9±17.4 mlで非癌部膵の1/3と低値であったが,Angiotensin-IIにより(腫瘍/非腫瘍部膵)の比(T/C)は0.48から1.2と増加し,腫瘍部全体の血流も,2.1倍に増加し,腫瘍への薬剤の選択性,到達性が高められた.逆に,Prostaglandin E1併用では,T/Cが0.33から0.21へと減少し,腫瘍への選択性が低下した.
索引用語
膵癌動注療法, angiotensin-II, prostaglandin E1, 組織血流量, 81 mKrypton
日消外会誌 19: 1629-1638, 1986
別刷請求先
大東 弘明 〒537 大阪市東成区中道3-1-1 大阪府立成人病センター外科
受理年月日
1985年12月11日
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