原著
門脈圧亢進症に対する選択的脾動脈塞栓術の意義
梅原 松臣, 田尻 孝, 渡辺 章, 鄭 淳, 金 徳栄, 青木 伸弘, 田中 洋介, 山下 精彦, 恩田 昌彦, 細井 盛一1), 本多 一義1), 隈崎 達夫1)
日本医科大学第1外科, 同 放射線科1)
門脈圧亢進症31例に対する選択的脾動脈塞栓術(SAE)の影響について検討した.Child分類は,直達手術では改善が17.6%,不変が47.1%で,増悪するものが35.3%にみられたが,SAE施行例では改善例が51.7%にみられた.HPT,Ch-Eは,SAE例,手術例とも改善されたが,HPTはSAE例,Ch-Eは手術例の方が改善率がよかった.ICG. R15値はSAEにより11例中8例に改善がみられた.血小板減少症に対しては,SAE前7.5×104/mm3であったがSAE後3週で21.9×104/mm3となり,その後漸減するが3年6ヵ月後でも12.7×104/mm3の値が維持されていた.SAE後の免疫能は,SAE後一過性に低下したが1ヵ月後には前値に復する傾向がみられた.
索引用語
選択的脾動脈塞栓術, 門脈圧亢進症, 食道静脈瘤, Child分類, 選択的脾動脈塞栓術後免疫能
日消外会誌 19: 1639-1645, 1986
別刷請求先
梅原 松臣 〒113 文京区千駄木1-1-5 日本医科大学第1外科
受理年月日
1985年11月12日
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