原著
胃膠様腺癌の臨床病理学的検討
竹下 公矢, 神戸 文雄, 丸山 道生, 越智 邦明, 砂川 正勝, 羽生 丕, 遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
過去20年間に経験した胃膠様腺癌44例について,その臨床病理学的特徴を明らかにする目的でほかの組織型を示す胃癌切除例との比較検討を試みた.膠様腺癌はBorrmann l型,幽門腺領域を占める頻度が高いなど分化型癌に類似している反面,若年者に多く,癌巣も大きいため切除断端浸潤陽性例も多かった.膠様腺癌の予後は不良であるが,これは主に治癒切除率が低いこと,ps(+)例の多いことに起因した.膠様腺癌の転移リンパ節の組織像は,原発巣の粘膜層もしくは粘膜下層の組織像と高率に一致した.また胃壁内組織像をみると,粘膜層から粘膜下層まで膠様腺癌が優位のものは半数未満であるが,固有筋層以下では多数例で膠様腺癌が優位であった.
索引用語
胃膠様腺癌, 胃癌の組織型
日消外会誌 19: 1711-1717, 1986
別刷請求先
竹下 公矢 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1986年1月8日
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