原著
ラット硬変肝切除後のInsulin受容体の研究
成広 朗
岡山大学第1外科(指導:折田薫三教授)
硬変肝切除後早期に予想される,肝に対するインスリン作用の低下の機序を検討するために,ラット正常肝および硬変肝切除後早期のインスリンレセプターおよびインスリン分泌能の変動を検討した.その結果,正常肝切除後にはinsulinogenic indexの上昇が12~48時間でみられた.一方インスリン特異結合能は24時間で低下し,48時間で回復傾向にあった.硬変肝切除後にはinsulinogenic indexは24時間で正常肝切除後ほど上昇しなかった.一方インスリン特異結合能は正常肝切除群より低下し,48時間でも回復がみられなかった.以上の結果より,硬変肝切除時には正常肝切除時に比べ,インスリン感受性の低下があり,またインスリン分泌能の低下も疑われた.
索引用語
肝硬変, 肝切除, インスリンレセプター, インスリン分泌能
日消外会誌 19: 1726-1733, 1986
別刷請求先
成広 朗 〒707-04 岡山県英田郡大原町中町39の2 大原町国民健康保険病院
受理年月日
1985年12月11日
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