原著
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術併用肝切除例の病理学的検討
冨岡 勉, 井沢 邦英, 土屋 凉一, 原田 昇, 吉野 りょう三, 角田 司, 野田 剛稔, 山口 孝, 山本 賢輔, 林 邦昭1), 森 宣1), 上谷 雅孝1), 松尾 武2)
長崎大学医学部第2外科, 同放射線科1), 同第1病理2)
肝細胞癌に対する術前肝動脈塞栓術施行例25例と非施行例23例の病理学的検索を行った.スポンゼル単独使用群8例と,抗癌剤併用群17例とは壊死率に差はなく,手術を前提として肝動脈塞栓術を行う場合塞栓物質のみにて肝動脈塞栓術を行い早期に腫瘍を含む硬塞病変の切除を行うべきものと考えられた.
壊死組織の診断には鍍銀染色が有用であり,完全壊死例を含め肝細胞癌として特徴を示すものが多く診断価値があるものと考えられた.また肝動脈塞栓術から手術までの期間による組織修復過程は,形態学的に経時的なパターンを示さなかった.これは結節の大きいものは修復過程の遅延が起るものと考えられた.
索引用語
肝動脈塞栓術, 肝細胞癌, 肝細胞癌娘結節, 門脈腫瘍塞栓
日消外会誌 19: 1734-1742, 1986
別刷請求先
冨岡 勉 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第2外科
受理年月日
1986年1月8日
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