宿題報告
食道癌外科治療における生体防御の障害と対策
斉藤 貴生
大分医科大学第1外科
食道癌患者58例の生体防御機能は,栄養(9項目),細胞性免疫(13),液性免疫(3),食細胞系(3),補体系(3),血清因子(11)の42項目での評価により17項目で有意に(p<0.05)に障害されており,その要因として飢餓,高齢,担癌があげられた.術前放治および手術は生体防御機能をそれぞれ7および16項目で有意に(p<0.05)障害した.入院時の生体防御障害は術後合併症発生と関連し,術後感染はIgAと,臓器障害はIgA,IgMと,縫合不全はリンパ球数,T細胞数,Killer T活性と有意に(p<0.05)相関した.対策としては,1)術前高カロリー輸液や術前OK 432投与の施行,2)術前放治の回避や二期分割手術の選択,3)生体防御指数(Host Defense Index)に基づく手術適応基準の設定が有効と思われた.
索引用語
食道癌患者, 外科治療, 生体防御障害, 免疫, 栄養
日消外会誌 19: 1856-1864, 1986
別刷請求先
斉藤 貴生 〒879-56 大分県大分郡区挾間町医大ヶ丘1-1506 大分医科大学第1外科
受理年月日
1986年7月9日
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