原著
門脈圧亢進症における食道静脈瘤と肝外門脈系血管壁の比較・検討
大浦 慎祐
順天堂大学第2外科(指導:杉浦光雄教授)
門脈圧亢進症における側副血行路(脾静脈と食道静脈瘤)の血管変化を組織学的に比較検討した.脾静脈の血管変化は門脈圧と相関するほぼ均等な内膜肥厚であるが,食道静脈瘤の血管変化は門脈圧とは相関せず部分的に不均等な内膜肥厚である.食道静脈瘤は呼吸運動や周囲支持組織の影響により,静脈内圧に対する静脈壁の反応が部分的に異なると考えられる.静脈瘤出血予知にRed-Color sign(R-C sign)は最も重要な所見である.術中点墨marking法により,R-C signは粘膜固有層の拡張した静脈であり,菲薄化した重層扁平上皮のみに被覆され,静脈壁も薄く破裂しやすいと解釈される.R-C sign陽性食道静脈瘤に対しては,非出血例でも積極的に予防手術を行うべきである.
索引用語
食道静脈瘤, 食道粘膜生検, 脾静脈血管変化, Red-Color sign
日消外会誌 19: 1908-1914, 1986
別刷請求先
大浦 慎祐 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第2外科
受理年月日
1985年12月21日
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