原著
胃と他臓器の重複癌
大内 慎一郎, 小山 研二, 成澤 富雄, 小玉 雅志, 伊藤 順造, 小棚木 均, 石川 浩一, 小山 裕文, 吉岡 浩
秋田大学第1外科
1971年から1984年まで教室で手術した胃癌症例1,107例を対象とし,胃と他臓器の重複癌38例について検討した.胃癌肉眼型において隆起型早期癌が高頻度にみられた.他臓器癌では大腸癌が12例と最も多く,消化器系の癌が半数以上を占めた.同時性重複癌28例においては18例が消化器系の癌で,術前・術中に入念な消化器系の検査を行うことが重要である.他臓器癌先行の異時性重複癌7例においては6例が進行胃癌で,第1癌術後に第2癌,特に胃癌の発生を十分考慮し追跡調査する必要がある.重複癌の治癒切除率は47%,5年累積生存率は19%と低く,治癒切除向上のためには,胃ならびに他臓器にわたる検査システムが必要である.
索引用語
胃癌, 重複癌
日消外会誌 19: 1920-1924, 1986
別刷請求先
大内慎一郎 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1986年2月12日
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