原著
Blind loop syndromeの病態にはたす腸管内細菌の役割について―特に無菌動物を使用して―
小西 清二
日本医科大学第1外科学教室(主任教授:恩田昌彦)
Blind loop syndrome(BLS)に際してみられる腸管吸収障害,内因性endotoxin(Et)の血中への出現に腸管内細菌がいかなる役割をはたしているかを検討する目的で無菌および普通ラットに実験的BLSを作製した.その結果,血清総蛋白量は普通群では平均6.4から5.8 g/dlと無菌群の5.2から5.1 g/dlに比べて有意に減少した.血清アルブミン値も全く同様の傾向を示した.また,普通群の大循環血中より全例Etを検出し,その際の腸管粘膜は盲嚢部を中心に強い障害を認めたのに対し,無菌群では軽微にとどまった.以上の結果より本症の病態は摂取物貯留による盲嚢腸管の拡張といった物理的要因よりも腸管内細菌の異常増殖に伴う障害の方がより重要であることを証明した.
索引用語
Blind loop syndrome, 無菌動物, 腸管内細菌, 内因性endotoxin, 低蛋白血症
日消外会誌 19: 1962-1969, 1986
別刷請求先
小西 清二 〒113 文京区千駄木1-1-5 日本医科大学第1外科
受理年月日
1986年2月12日
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