食道癌の随伴病変に関する臨床病理学的検討―その実態と臨床的意義を中心に―

吉川　時弘

新潟大学外科学第1講座（主任：武藤輝一教授）

　胸，腹部食道癌切除例104例を対象として，食道癌の随伴病変の実態と臨床的意義を中心に，臨床病理学的検討を加えた.
　随伴病変は肉眼所見，ルゴール染色所見，組織学的所見より，（1）孤立不染帯，（2）多発病巣，（3）上皮内伸展病変，（4）壁内転移に大別でき，さらに，上皮内伸展病変は範囲と長さからie₁，ie₂，ie₃に，壁内転移は肉眼形態，組織学的所見よりtype 1，type 2，type 3に亜分類が可能であった．
　随伴病変により，複雑な発育，進展を示す食道癌の生物学的特性の一端をみることができる．また，その診断や判定にルゴール染色法は極めて有用な補助手段である．

索引用語
食道癌, 随伴病変, 食道ルゴール染色法

別刷請求先
吉川　時弘　〒113　文京区本駒込3-18-22　都立駒込病院外科

受理年月日
1986年2月12日

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