原著
直腸癌壁深達度診断ならびに仙骨前腫瘍に対する経肛門的直腸内超音波検査の検討
山下 裕一, 納富 昌徳, 諸富 立寿, 白水 和雄, 内田 寛, 岡本 一廣, 磯本 浩晴, 山内 胖, 掛川 暉夫
久留米大学第1外科
経肛門的直腸内超音波検査法を用い,直腸癌壁深達度診断と仙骨前腫瘍の診断に対する有用性を検討した.
症例は直腸癌35例,直腸カルチノイド,直腸粘膜下腫瘍,類皮嚢胞,脊索腫の各1例の計39例であった.直腸癌に対する本検査可能率は,P・Rb 95%,Ra 41.7%,Rs 0%と下部直腸に有用であった.壁深達度診断の正診率は,I群(m,sm,pm)2例中2例100%,II群(ss,s,a1,a2)15例中15例100%,III群(Si,ai)7例中5例71.4%と高い正診率が得られた.仙骨前腫瘍の診断でも有用な情報を提供し,本検査法による超音波ガイド下に生検を行うことができた.以上のように本検査法は,直腸癌壁深達度診断や仙骨前腫瘍の診断にきわめて有用であった.
索引用語
直腸癌, 直腸癌壁深達度, 仙骨前腫瘍, 経肛門的直腸, 内超音波検査
日消外会誌 19: 2057-2062, 1986
別刷請求先
山下 裕一 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1986年2月12日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|