特集
高齢者胃癌症例に対する手術侵襲とリスクファクターの解析
中島 聰總, 太田 恵一郎, 西 満正
癌研究会病院外科
4,876例の胃癌症例のうち,75歳以上の高齢者(173例)を対象として,他の年齢層(40~74歳:4,250例,39歳以下:453例)と対比しながら,手術侵襲とリスクファクターの関連を検討した.正準判別分析によると合併症の発症に関与する要因としてStage,年齢,切除範囲,GPT,Creatinine,Cho.E.が重要であった.高齢者における手術関連合併症の発生率は切除範囲,合併切除を施行しても他の年齢層と変らず,手術侵襲のlimiting factorは全身偶発合併症,特に肺合併症であった.高齢者においても他の年齢層と同様に手術の根治性を追求すべきであるが,術前に肝腎機能障害がある場合や,絶対非治癒切除におわる場合は合併切除を含む拡大手術は避けるべきである.
索引用語
高齢者胃癌, 手術侵襲, 術後合併症
日消外会誌 19: 2104-2107, 1986
別刷請求先
中島 聰總 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1986年6月16日
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