特集
高齢者膵頭十二指腸切除症例の検討
今成 朋洋, 神谷 須賀男, 平岩 正樹, 長堀 優, 福島 亮治, 石川 成美, 増田 幸蔵, 石丸 純, 志田 晴彦, 松村 健三, 町田 武久, 山本 登司, 浅野 哲1)
東京厚生年金病院外科, 国立病院医療センター外科1)
高齢者の膵頭十二指腸切除症例11例について,その成績と問題点を検討した.重篤な併存疾患を有する例は,他の姑息的手術にとどめられていた.術後合併症対策としては,厳重な術前術後の全身管理が必要なことは当然であるが,特に十分な減黄が重要であり,エコーガイド下PTCDが有効であった.膵空腸吻合縫合不全は,膵管空腸吻合と膵管チューブ挿入を基本術式としてからは著しく減少した.高齢者例の特徴は,術後精神症状の発現率が高いこと,いったん合併症や他の疾患を発症すると,重篤な病態に陥りやすいことである.今後,高齢者でも本術式の適応症例が増加するものと思われるが,それと同時に,その遠隔成績の向上を計る必要がある.
索引用語
膵頭十二指腸切除術, 膵頭部領域癌, 高齢者
日消外会誌 19: 2117-2120, 1986
別刷請求先
今成 朋洋 〒162 新宿区津久戸町23 東京厚生年金病院外科
受理年月日
1986年6月16日
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