特集
高齢者大腸癌の臨床的特徴とrisk factor
神田 裕, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 石橋 宏之, 加藤 純爾, 松下 昌裕, 小田 高司, 原川 伊寿
大垣市民病院外科
1970年から1984年までに経験した大腸癌834例のうち手術直接死亡率に差がみられた75歳以上の高齢者大腸癌144例(17.3%)の臨床的特徴,手術に対するrisk factorを検討した.高齢者群は対照群に較べて全身性疾患やイレウス,穿孔などの腫瘍による合併症を有するものや緊急手術例が多いために切除率は低く,遠隔成績も不良であった.イレウス,穿孔などの腫瘍による合併症を伴ったものの手術死亡率は19.3%(11/57)と高率でもっとも大きなrisk factorと考えられた.しかし,手術侵襲の大きさと手術死亡に相関がなく,イレウス,穿孔例の二期切除例に手術死亡がないことを考慮すると高齢者といえども全身状態を把握して積極的に手術すべきと思われた.
索引用語
高齢者大腸癌, 大腸癌イレウス, 大腸癌穿孔
日消外会誌 19: 2121-2124, 1986
別刷請求先
神田 裕 〒503 大垣市南頬町4-86 大垣市民病院外科
受理年月日
1986年6月16日
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