特集
胃切除後胆嚢機能障害―胆嚢超音波像および胃切除後愁訴について―
渕上 哲, 宮下 正, 井上 一知, 細谷 亮, 鈴木 敞, 戸部 隆吉
京都大学医学部第1外科
胃癌切除症例40例に対し経時的超音波検査を施行した結果,術後1ヵ月以内には,空腹時胆嚢面積の増大に加え,胆嚢内異常エコーが21例(52.5%)に認められた.また,caerulein筋注後の胆嚢運動機能は明らかに低下したのに対し,Clinimeal経口投与後には血中CCK濃度は著明に増加,胆嚢収縮能は術前とほぼ同程度に保持された.一方,術後3~6ヵ月に至り,胆嚢運動機能は漸次回復し,大多数の症例において異常エコーは次第に消失した.また,以上の結果と各症例の術後愁訴の推移を対比したところ,術後早期にみられる種々の愁訴に対処する際には,胃切除後“胆嚢”症候群とも称すべき術後病態の存在を考慮することが肝要であると考えられた.
索引用語
胃癌根治手術, 経時的超音波検査, 胆嚢運動機能
日消外会誌 19: 2150-2153, 1986
別刷請求先
渕上 哲 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第1外科
受理年月日
1986年6月16日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|