原著
食道静脈瘤に対する外科的治療の適応および効果に関する検討
鳥谷 裕, 真栄城 兼清, 吉村 茂昭, 多胡 卓治, 西田 哲朗, 有馬 純孝, 志村 秀彦
福岡大学医学部第1外科
食道静脈瘤の治療経験をもとに肝機能検査・臨床所見よりみた直達手術の安全域,内視鏡所見よりみた直達手術の効果,食道静脈瘤の予後に関する検討を行った.その結果ICG-R15値<35%,血清albumine値>3.0 g/dl,血清bilirubin値<2.5 mg/dl,血清prothrombin時間>50%,血清NH3値<100 µmol/l,難治性腹水・肝性脳症を認めないなどが安全域決定の重要な指標と思われた.
術後内視鏡所見では,F factorに関しては94%,red color signに関しては97.1%の症例で改善・消失した.
5年生存率は直達手術例で68.1%と,非手術例に比べ良好な成績を得たが,randomised trialによる今後の検討にて結論を出す必要があると思われた.
索引用語
経腹的食道離断術, 食道静脈瘤の手術適応, 食道静脈瘤術後内視鏡所見, 食道静脈瘤の予後
日消外会誌 19: 2163-2169, 1986
別刷請求先
鳥谷 裕 〒814-01 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部第1外科
受理年月日
1986年3月12日
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