原著
stage IV食道癌の外科治療
田辺 元, 吉中 平次, 栗田 光一, 牟礼 洋, 森藤 秀美, 黒島 一直, 馬場 政道, 四本 紘一, 愛甲 孝, 加治佐 隆
鹿児島大学医学部第1外科
食道癌取扱い規約によるstage IV食道癌は,他の病期の食道癌に比べ予後の面でばらつきが多い.stage IV食道癌の切除例114例について,各因子別に予後を検索し,外科治療の適応と有効性について検討した.
その結果,stage IV食道癌全例の累積5年生存率は4.7%で,a単独因子で規定されるものはn単独因子で規定されるものより予後は不良であった.また,n単独因子例では,転移リンパ節個数5個未満のもの,腹部単独転移例が予後は良く,頸部・上縦隔リンパ節転移陽性例は予後不良であった.また,stage IV食道癌の亜分類を試みた結果,現時点では深達度a2以下でリンパ節転移度の低いstageIV食道癌例に対し,外科治療は有効と思われた.
索引用語
食道癌治療成績, stage IV食道癌, stage IV食道癌亜分類
日消外会誌 19: 2170-2175, 1986
別刷請求先
田辺 元 〒898-82 鹿児島県曽於郡大隅町月野894 曽於郡医師会立病院外科
受理年月日
1986年3月12日
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