原著
超音波検査による食道癌頸部・上縦隔リンパ節転移診断能の検討
宇田川 晴司, 鶴丸 昌彦, 渡辺 五朗, 小野 由雅, 鈴木 正敏, 秋山 洋
虎の門病院消化器外科
下咽頭癌を含めた食道癌70症例に対して術前に頸部超音波検査を施行し,その頸部,上縦隔リンパ節転移診断を手術郭清リンパ節の病理診断と対比検討した.描出されたリンパ節の側からみるとtruepositive rate=76%,true negative rate=94%であった.病理組織学的に転移のあったリンパ節の側からみると超音波診断率は60%と低いが,径5 mmを越えるリンパ節転移を対象とすると診断率は88%であった.頸部超音波検査は食道癌頸部転移のみならず上縦隔リンパ節転移に対しても有用性の高い診断法であり,特に胸部食道癌において重要な腕頭動脈周囲から頸部右傍食道傍気管領域に連なるリンパ節転移経路の検索には欠くことのできない検査である.
索引用語
食道癌, 頸部上縦隔リンパ節転移, 頸部超音波検査, 腕頭動脈周囲リンパ節, 頸部傍食道傍気管リンパ節
日消外会誌 19: 2176-2183, 1986
別刷請求先
宇田川晴司 〒105 港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
1986年4月9日
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