原著
胸部食道癌のリンパ節転移の検討―とくに上縦隔リンパ節の郭清について―
村上 卓夫, 石上 浩一, 水田 英司, 岡 正朗, 正木 康史, 林 弘人
山口大学第2外科
CEを除いた食道癌227例に主病巣切除とリンパ節郭清を行い,これらのリンパ節転移率は65.6%であった.今回とくに胸部食道癌(Iu,Im,Ei)についてのリンパ節転移状態を検討した.われわれは昭和55年以降より積極的に上縦隔および頸部(左側)の郭清を行い,術後T字型後照射および化学療法剤に加え免疫療法を併用している.術後4年生存率において,26.6%から59.1%と向上しており,また肺合併症に関しては,33.3%から19.2%とむしろ減少した.胸部食道癌に対して,積極的な上縦隔リンパ節郭清を行っても,慎重な術後管理を行えば,肺合併症も少なくでき,予後の向上につながるものと思われた.
索引用語
胸部食道癌, 上維隔リンパ節郭清, 食道癌手術
日消外会誌 19: 2184-2189, 1986
別刷請求先
村上 卓夫 〒755 宇部市小串1144 山口大学医学部第2外科
受理年月日
1986年3月12日
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