出血性胃癌自験例の分析と内視鏡的高張Na-epinephrine液局注療法の上血効果

竹内　護, 平尾　雅紀, 高橋　康幸, 石後岡　正弘, 松毛　真一, 原　隆志, 山崎　左雪, 高田　剛太, 杉原　保, 細川　誉至雄, 池田　由弘, 清水　泰裕, 新垣　盛雅

北海道勤医協中央病院外科

　過去8年9ヵ月間に当院に入院した吐血．下血を主訴とした胃癌25例につき検討した．早期癌8例，進行癌17例で大量出血例が52％を占めた．肉眼形態は，早期癌は全例，進行癌は94％が陥凹型であった．早期癌切除例7例全例に病巣内消化性潰瘍の合併がみられた．内視鏡的に胃潰瘍との鑑別が難しい病巣からの出血は，出血点のはっきりした露出血管型が多く，明らかに進行癌を呈する病巣からの出血は，出血点のはっきりしない湧出型が多かった．大量群13例中7例に内視鏡的高張Na-epinephrine液局注療法を施行し，完全止血5例，一時止血1例，判定不能1例で，止血率85.7％であり，胃癌大量出血に対してその有用性を確認した．

索引用語
上部消化管出血, 胃癌出血, 内視鏡的高張Na-epinephrine液局注療法

別刷請求先
竹内　護　〒065　札幌市東区伏古10条2丁目15番1号　勤医協中央病院外科

受理年月日
1986年3月21日

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