原著
膵性胸水を合併した慢性膵炎の治療と予後
土江 健嗣, 二村 雄次, 早川 直和, 長谷川 洋, 前田 正司, 岡本 勝司, 山瀬 博史, 岸本 秀雄, 塩野谷 恵彦
名古屋大学医学部第1外科
7例の膵性胸水を合併した慢性膵炎の治療と予後について検討した.全例,胸水穿刺もしくはドレナージを施行し,膵性胸水を確認後,手術を施行した.手術は嚢胞,瘻孔を含めた膵切除術を原則とし,膵尾側切除5例,Puestow手術1例,外瘻術+膵尾側切除1例を施行した.胸水の再発例,死亡例は認めず,予後は極めて良好であったが,胸水ドレナージの遅れた2例に臓側胸膜の肥厚が原因と思われる術後長期にわたる肺拡張不全を認めた.膵性胸水は膵管もしくは仮性膵嚢胞壁の破綻による胸腔内膵液瘻の形成により生ずると考えられているが,われわれの検討によれば内膵液瘻の大部分は,発生時より2.5ヵ月程度でその機能を失い,実質的に閉鎖するものと推測された.
索引用語
慢性膵炎, 膵性胸水, 胸腔内膵液瘻, 仮性膵嚢胞
日消外会誌 19: 2241-2245, 1986
別刷請求先
土江 健嗣 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1986年3月12日
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