原著
術後腹腔内感染症と凝固・線溶系の変動
佐藤 元通, 酒井 堅, 小野 仁志, 佐川 庸, 渡部 祐司, 川田 匡, 木村 茂
愛媛大学医学部第2外科
術後縫合不全による腹膜炎28例をI群(minor leakage)11例,II群(major leakage)6例,III群(lethal leakage)11例に分け,対照群25例と対比し,消化器手術後の凝固・線溶系の変化を検討した.
1)術後は一過性に凝血能が変動するため,一般的なDIC診断基準は適用できない.2)縫合不全例は術後1~3日目より通常の凝血能の変化が増強されていた.3)軽症例ではFbg・FDP上昇,AT III低下などが対照群より顕著で,回復が遷延したのみであった.4)重症例では術後1~2週目よりAPTT延長,PT・AT III・Plg低下が軽症例より強く,血小板減少も認められた.5)血小板数の相対的・絶対的減少を示す腹膜炎症例は重篤化することが多く,血小板数の推移には注意を要する.
索引用語
腹膜炎, 縫合不全, 凝固・線溶系, 多臓器障害, 汎発性血管内血液凝固症候群
日消外会誌 19: 2246-2252, 1986
別刷請求先
佐藤 元通 〒791-02 愛媛県温泉郡重信町大字志津川 愛媛大学医学部第2外科
受理年月日
1986年4月9日
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