大腸癌術後再発に関する臨床的・病理学的検討―とくに再発予知に関する数量化の試みについて―

稲葉　征四郎, 田中　承男, 土屋　邦之, 浜頭　憲一郎, 能見　伸八郎, 山岸　久一, 弘中　武, 岡　隆宏

京都府立医科大学第2外科学教室

　結腸癌89例，直腸癌61例の大腸癌治癒切除例を対象に臨床的病理学的検索から予後因子を解析した結果，予後因子のうち年齢，腫瘍径，環周率および補助化学療法の有無と5生率には相関がみられず，腫瘍の部位，Borrmann分類（p＜0.01），漿（外）膜浸潤（p＜0.063），リンパ節転移（p＜0.01），リンパ管侵襲（p＜0.05），組織型（p＜0.05），術前血清CEA値（p＜0.001）の7因子が予後と相関した．
　症例を再発群と非再発群に分け，上記7項目の予後因子から，「林の数量化II類」による多変量解析で各症例のScoreを求め，再発予知の可能性を検索した結果，非再発例17例中15例において，再発例16例中15例において予測と一致した結果が得られた．

索引用語
大腸癌, 大腸癌術後再発, 大腸癌再発予知, 血清CEA値, 数量化II類

別刷請求先
稲葉征四郎　〒602　京都市上京区河原町通り広小路上ル梶井町465　京都府立医科大学第2外科

受理年月日
1986年3月12日

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