原著
肝硬変による食道静脈瘤症例に対する手術時の予後判定に関する検討
久保 周, 東権 広, 木村 茂, 永井 勲1), 難波 康男2), 藤原 恒弘2)
愛媛大学第2外科, 同 中央手術部1), 三原興生総合病院2)
肝硬変を基盤にした食道静脈瘤症例69例を対象として検討し,肝障害を合併した症例の予後判定指数(PI)=0.546(Alb)-0.281(TB)-0.003(COT)+6.754(K-ICG)+0.011(PT)-0.283の算定式を得た.PI≧3.2である安全域(I)症例は予後良好であった.2.6≦PI<3.2を示す境界域(IIA)症例は,手術操作や術前後の管理ミスにより術後合併症を伴いやすい.2.0≦PI<2.6を示す境界域(IIB)症例は,手術時期・操作,術前後管理に万全を期さないと術後重篤な合併症を伴う危険性が強い.PI<2.0を示す危険域(III)症例では術後重篤な合併症が多く発生しており,外科的治療よりも内科的治療を優先すべきである.
索引用語
食道静脈瘤, 肝硬変, 食道静脈瘤の直達手術, 食道静脈瘤の予後判定指数
日消外会誌 19: 2325-2332, 1986
別刷請求先
久保 周 〒791-02 愛媛県温泉郡重信町志津川 愛媛大学医学部第2外科
受理年月日
1968年5月14日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|