原著
食道癌に対するCisplatin,Pepleomycin併用による術前合併療法としての意義
大熊 利忠, 萩原 直樹, 岡村 健二, 田平 洋一, 本郷 弘昭, 佐田 英信, 官内 好正
熊本大学医学部第1外科
食道癌に対し新しい合併療法の試みとして,Cisplatin+Pepleomycin(以下本療法)を術前術後に投与してきたが,今回は本療法の術前合併療法としての意義について検討した.対象症例は昭和60年8月31日までに本療法が施行され当科で切除された35例(うち術前照射例4例を含む)である.本療法による術前の臨床的改善度は33%~50%であった.切除された主病巣の組織学的効果度は45.7%であり,転移リンパ節105個の組織学的効果度は29.5%であった.術後本療法に関連する合併症として1例に急性腎不全がみられた.他には重篤な副作用はみられなかった.本療法は有効な合併療法と考えられる.今後投与量,併用薬剤についてさらに検討する.
索引用語
食道癌術前合併療法, Cisplatin, Pepleomicin
日消外会誌 19: 2333-2340, 1986
別刷請求先
大熊 利忠 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1986年4月9日
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