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第19巻 第12号 1986年12月 [目次] [全文 ( PDF 987KB)]
原著

肝広範切除術後の肝再生と耐糖能に関する実験的研究―経静脈的ブドウ糖負荷時インスリン分泌の変動―

上野 一夫

金沢大学第2外科講座(指導:宮崎逸夫教授)

 ラットに70%肝切除を行い,術後の耐糖能およびインスリン反応が肝再生に伴いいかに変化するかを研究した.対照として単開腹群を用い,経時的に術後3週まで経静脈的糖負荷試験を用いて検討した.その結果,肝切除後3日目では耐糖能の低下をみたが,インスリン反応は末梢,門脈血とも低下していなかった.7日目では逆に耐糖能の上昇を認め,さらにインスリン反応も末梢,門脈血とも高分泌反応を示した.14日目以降では肝再生の終了とともに耐糖能およびインスリン反応は対照と差を認めなくなった.以上の事実から肝切後早期の過剰の糖補給は慎重になされるべきであり,回復期には積極的な糖補給が肝再生促進に合理的であることを示唆した.

索引用語
肝再生, 経静脈的ブドウ糖負荷試験, 肝切除後耐糖能, 末梢血インスリン, 門脈血インスリン

日消外会誌 19: 2348-2357, 1986

別刷請求先
上野 一夫 〒937 魚津市六郎丸992 富山労災病院外科

受理年月日
1986年4月9日

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