原著
肝外性閉塞性黄疸時の循環動態に関する実験的研究
熊沢 健一
東京女子医科大学第二病院外科(指導:榊原 宣教授)
肝外性閉塞性黄疸時の循環動態について検討するため実験的研究を行った.方法は雑種成犬の総胆管を結紮し,Swan-Ganzカテーテルを挿入して血行動態を測定した.その結果,心係数は総胆管結紮前162,3週後191,6週後210 ml/kg・min,循環血液量はそれぞれ81.8,90.4,102.3 ml/kgと上昇し,平均動脈圧は132,122,111 mm Hg,全末梢血管抵抗は0.83,0.63,0.52 mm Hg・kg・min/mlと減少しhyperdynamic stateを呈した.このとき酸素消費量は4.57,5.54,7.40 ml/kg・minと増加していることから心係数の上昇は酸素の需要の増加を助ける変化と考えられた.また,血中グルカゴン濃度が上昇しており,グルカゴンが全末梢血管抵抗の減少に関与していることが示唆された.
索引用語
閉塞性黄疸時の循環動態, hyperdynamic state, グルカゴン
日消外会誌 19: 2365-2373, 1986
別刷請求先
熊沢 健一 〒116 荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学第二病院外科
受理年月日
1986年4月9日
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